ぼらんたーるな人 vol.9 青木直子さん(特定非営利活動法人 富士山クラブ)

〜美しい富士山を残そう!〜
自然環境保護ボランティア〜富士山クラブ

富士山は2007年6月、世界遺産(※)の暫定リストに登録されました。富士山の美しく豊かな自然環境を保護・再生していくために活動している数多くの市民団体があります、そういった市民団体の一つとして1998年に任意市民団体として結成された「富士山クラブ」は、日本の宝である富士山を愛し、富士山を守ろうと、全国から会員が集まっています。今年で設立10周年を迎える富士山クラブの本部・東京事務所で事務局を担当して7年の青木直子さんに富士山クラブのお話をお伺いしました。

※世界遺産(日本ユネスコ協会連盟)
http://www.unesco.jp/contents/isan/

◆青木直子(あおきなおこ)
1963年12月生まれ。大学卒業後、新聞社勤務の後、渡米。帰国後、フリーランスライター、国際会議やメディアコーディネーターとして働くうちに、仕事で係わった環境問題に関心をもつ。海外で富士山を自慢してきたこともあり、富士山の環境問題が深刻だと知って、富士山クラブの事務局をお手伝いしているうちにはや7年。

特定非営利活動法人 富士山クラブ
http://www.fujisan.or.jp/

■「自然環境保護ボランティア」って何ですか?

美しい富士山を残そうと活動するNPOが、定期的に富士山の清掃活動をしなくてはならないほど、富士山は深刻な問題を抱えています。富士山クラブは1998年に設立されましたが、その当時から、イタリアの有名な登山家ラインホルト・メスナーさん(※)が、「富士山はごみが多い」と指摘するほど、ごみ問題は解決すべき問題としてクローズアップされていました。
特にひどかったのは山麓に不法投棄される大量のごみ。山麓の道路沿いにドライバーがポイ捨てするごみに始まり、不要になった家財道具。リサイクル法が施行されてからは家電4品目(テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機)やパソコンの不法投棄が非常に目立つようになり、自動車まで捨てられているのが現状です。

※イタリアの登山家、冒険家、作家、映画製作者。1980年にはエベレスト無酸素単独登頂の偉業を成し遂げ、1986年に人類史上初の8000メートル峰全14座完全登頂という登山史における大金字塔を打ち立てた。

山麓に不法投棄された家電製品

富士山クラブは設立当時から、多くの市民ボランティアの皆さんと清掃活動を行っています。また、ごみ問題の具体的・抜本的解決のために、ごみの種類、総量が、どこに落ちているかを正確に調査し、「富士山環境ごみマップ」を作成しています。富士山の西臼塚(にしうすづか)の森の再生活動では、植林が終わり、現在は育林の作業を行っています。

知らない人同士でも、自然と声を掛け合うボランティアたち

■富士山のごみは随分少なくなりました

2007年度、富士山の清掃活動には3歳から91歳まで、延べ6300人が参加し、約63tのごみを回収しました。中には九州から駆けつけてくれた人もいました。また、野生動植物保護の観点から、小さなガラス片や細かいビニールなども徹底的に拾います。会員はもとより、全国からボランティアが富士山に集まり、汗を流してくれたおかげで、富士山のごみは確実に減りつつあります。

アルピニストの野口健さんも富士山クラブ会員だ!清掃活動にも参加

■「富士山クラブ」は市民ならではの知恵と行動力を生かします

全国規模である富士山クラブの会員は約1100人、富士山の清掃活動のほかにも、環境教育や森づくり、自然観察や森林調査など、様々な環境保全活動を行っています。会員の中には、会員自らが活動を企画し、会員仲間を中心にその活動を続けている人もいます。
静岡県ふじさんネットワークの「エコレンジャー」として、登山道や自然のガイド、オフロードへの乗入れの監視など広く「環境で富士山を守る」活動をしている人、また、地元の登山団体のリーダーとして活躍している会員が、「登山の時にはついでにごみも拾いながら歩いてください」などと呼びかけてくれているそうです。

山歩きしながら、自然と登山道のごみを拾います

■心強い「富士山クラブ」会員の人々

富士山への熱い思いをもった会員たち。活動経験の長い人々が、自ら他のボランティアの誘導や指導などを引き受けてくれています。
また、会員が自ら活動を広げてくれているおかげで、「富士山にはこんな問題がある」「富士山クラブでこんな保全活動はどうだろうか」など、会員自らが問題の提起や活動の企画を主体的にしてくれます。

NPOイベントでは、会員自らがボランティアの説明役

■有償ボランティア

東京事務所のほか、静岡と山梨に富士山クラブの事務所があり、8人の専任スタッフがいます。
また、自然体験や清掃活動などの環境保全プログラムを継続的に行っていくために、専門知識と技能を備えた会員に、環境活動スタッフとして有償ボランティアのお手伝いをしていただいています。会員対象ですが、初級から上級まで段階的に環境活動スタッフの養成講座を設けており、現在約30人がスタッフ登録。富士山の活動現場で有償のボランティアリーダーとして活躍しています。

自然体験活動ではボランティアがリーダーとして活躍

■富士山の素晴らしさをもっと知って〜富士山を守る市民運動へ

豊かな自然の宝庫としての富士山の魅力をもっともっと知ってほしい、体験してほしいと思っています。富士山クラブのスタッフがガイドをしながら皆さんと散策すると、青木ヶ原樹海が、綺麗な緑に溢れた樹海の森へと視点が変わります。「屋久島に匹敵するような苔むした絨毯が広がっていることを知らなかった。すごい」などという感想が必ず聞かれます。
このように、もっと富士山の魅力を知り、体験すれば、「富士山の自然環境を大切にしていきたい」、「美しい富士山が汚いのは見ていられない」との思いがより強まることになります。そして、富士山を守ろうという市民運動に繋がっていきます。

緑あふれる「青木ヶ原樹海」

富士山クラブが行ったバイオトイレの設置、現在多くの参加者がいる富士山清掃活動は、市民が自ら動き、行政や企業に呼びかけ、パートナーシップを組むことによって成果をあげてきました。

2000人のボランティアが協力したバイオトイレ設置

富士山クラブ宣言「私たちは、富士山が育んできた、水と緑と命をまもり、心の故郷としての美しい富士山を子どもたちに残していくために、活動を続けます」を柱に、多くのボランティアの知恵と力を借りながら、富士山を守る市民運動を続けていきたいと考えています。

世界遺産のトンガリロ国立公園とも、自然環境保護を通じて国際交流