ぼらんたーるな人 vol.4 長嶺ヤス子さん(舞踊家)

長嶺ヤス子の世界へようこそ

自らをジプシーと名乗る長嶺ヤス子さんは、東京港区・天王洲銀河劇場で行われる「ジプシーロック」の公演(2007年4月2日)で、アメリカ人のミュージシャンによるリズムに合わせ、ロックの魂を感じ表現します。舞踊家である長嶺ヤス子さんに、その世界と人間の本質、ボランティア精神論などお聞きしました。

■インドから世界各地へ放浪する民族が、芸をしながら生きていくことをジプシーというならば、今の私もジプシーなのです。その私が、R&Bのリズムで踊るから公演のタイトルは「ジプシーロック」

ジプシーの女は翔ぶ
傷だらけの足は
力強く大地を踏んだ
ジプシーの女は
牝豹のように山肌を転がり
赤茶けた荒野を走りつづける
風の吹くままに……。

詩・長嶺ヤス子

4月2日、銀河劇場(746席)の舞台では、アメリカ人のミュージシャン(ベース・リードギター・ドラム・シンガー2人)と日本人ミュージシャン、シンセサイザーが演奏する音楽で女を表現します。曲目は、THE ANIMALS 『朝日のあたる家』・『悲しき願い』、ROLLNG STONES 『ミス・ユー』・『悪魔を憐れむ歌』、JANIS JOPLIN 『SUMMER TIME』。

演出家である池田先生と、女の本質をロックのリズムとどのように融合させようかなど検討中ですが、清純な女、小悪魔な女、娼婦となって身を持ち崩す女、業の強い女など、女の持つあらゆる面をR&Bのダイナミックなリズムに心を合わせ、女性の気持ちを代弁するつもりです。観客の方々には、俗世間の役割の中でかぶっている固い仮面を脱ぎ捨て、私の踊る姿に自分の心を重ねて、心を開き楽になってほしいです。

■本場スペインのフラメンコのライブを日本で観ることのできるお店を作りたい。新宿「エルフラメンコ」の立ち上げにお手伝いしました

私の舞踏団「エルフラメンコ舞踏団」と40年前、スペインから来日しました。日本全国巡業したのですが、スペイン人の踊るフラメンコをあまり見たことも聞いたこともない当時の日本人の前で踊ったのですから、巡業先の四国では「エロ・フラダンス」(笑)と勘違いしたという人もいました。フラメンコがどのような踊りなのか想像できなかった時代なので仕方ないことですが、日本人である私がスペイン人の音楽を感じ、その技術をまねして踊るフラメンコの説明には、大変苦労したなあと、今では懐かしい想い出です。

長嶺さんが、台詞でも言っているのではないかと、思ってしまうような音色を響かせるカスタネット。スペイン修行時代、当時の先生から譲り受けた品で、今から150年前に作られたといいます。

■フラメンコのリズムに合わせて踊る日本人の私は、流浪の芸人「河原乞食」

「ヤス子は、何を糧に生きてるの?」
長嶺ヤス子はたった一人残った最後の河原乞食だ。





一定の収入のない私の暮らしは、その日暮らし。私を気遣い、自分のことをするように手を差し伸ばしてくれる多くの人びとがいます。10年ぐらい前、作家:五木寛之先生がそんな私を『生きるヒント3』で表現されています。
その中に描かれているように今でも人におもねるような生き方はしていないつもりです。
芸人とは、どのような思考を持っているかというと自分の芸をお金儲けの手段にするのか、自分を認めてもらいたいという自己満足のどちらかだと思います。
アーティストが「人を喜ばせるための芸です」など中途半端な気持ちで自分の芸を見せるはすなどはないと思います。
ボランティアは、志を一つにして人と関わることで、自分の精神が浄化され、心が若返り健康になる。人に喜ばれると思って奉仕したことが、実は自己満足で、自分のためにしていた行為だと後で気がつくような気がします。こんなことを思える人が、これからの日本人を支えてくれるのではないかしら。たくさんの輪が広がることを願っています。
舞踊家長嶺ヤス子としては、食べるものがなくても踊ってツメがはがれて血を流そうとも踊る事で世間が回ると思っています。つまり、人に生かしていただきながら人を生かしているのかもしれません。

■「差し押さえは白い花びら」世間の人々が置き去りにした命を拾い集め、約150匹の猫や犬が福島県の私の家で暮らしています

1980年、今まで目に見えなかった命の重さを感じることができたことで、すべてこの世で起こることは、みな「縁」であると受け入れるようになりました。仏教に念彼観音力(ねんぴかんのんりき)という言葉があるのですが「人は勝手なことばかりしている。でもそれを否定しないで観音は、人間を支えている」というような意味なのです。何かの事情で飼えなくなってしまったペットを私の所へ連れてきて「長嶺さんが拾ってくれないなら致死処分にします」と聞けば、命を粗末されると思いほおっておけないのです。でも、だんだんと増える子どもたちに正直悩んだこともありました。この子たちを受け入れるため、今、がんばって絵を描かせてもらっています。この子たちに対して責任がありますから。なんとかしなければというその思いは、生きる力となっているのです。きっと私もこの子たちに生かされているのです。

長嶺さんの描く猫たちの絵は、会場で販売される

■長嶺ヤス子さんからの手紙



土地に根を張らない流浪の人ジプシー。

インドから出発し、辿りついた先スペインの地で

その人々の体から発するリズムを感じながら表現した

踊りが「フラメンコ」という名であるならば、

私の体の中にある放浪の魂が、アメリカ人

の体から発するリズムをどのように受け止め

表現できるのか、今の私には分からない。

けれど舞踊家 長嶺ヤス子の世界を信じて

その世界を見て欲しいのです。





■お問い合わせ先 : 銀河劇場オンラインチケットセンター (http://www.gingeki.jp/
長嶺ヤス子事務所 (03-3384-7531)