NPO支援を通じて市民活動への参加意識を高めたい

市民団体は社会を取り巻くさまざまな課題に対し、その解決のため、また地域の生活を豊かにするためなどの活動に取組んでいます。しかし、その活動を支える社会基盤はまだ整備されているとはいえません。金融機関では、こうした市民活動を応援する事業や取組みを行っています。金融機関としてNPO事業サポートの金融サービスのほか、NPO助成プログラム、社会貢献活動などを実践しています。

中央労働金庫

中央労働金庫

労働金庫は労働組合・消費生活協同組合・その他の労働者団体が協同して運営する、労働者のための金融機関です。営利を目的とせず、会員全体に奉仕することを原則としています。中央労働金庫(以下「中央労金」と略す)では、くらしに役立つ、地域の中で個性輝く「ひと・まち・くらし」づくりを実現するNPOを応援しています。
山口郁子さん(中央労働金庫総合企画部次長)

山口郁子さん
(中央労働金庫総合企画部次長)

中央労金の取材を通じて、コミュニティ・ベーカリー「風のすみか」の工場長・浅野さんとの出会いがありました。
コミュニティ・ベーカリー『風のすみか』とは、東京・三鷹市のNPO法人「文化学習協同ネットワーク」が運営する小さなパン屋さんです。パンの製造・販売を行うのは、不登校や引きこもりを経験した青年たちです。『風のすみか』は、社会とかかわることに不安を感じている若者たちが、“働きたい”という思いを持ちながら、人と出会うこと、働くことの楽しさを学び、飛び立っていく場所です。中央労金はその活動に、助成や寄付などの“お金”による支援だけでなく何か応援できないかと考え、労働体験の場を提供しようということになりました。

■2006年11月より、中央労金ビル内で『風のすみか』がパンの販売を行っています

お金の支援ではなく、働く場の提供と販路の拡大に協力しようと思ったのですが、団体のためだけでなく、職員にとってもパンを買うことによって、団体の活動を支援でき、社会貢献の意識付けにもなります。そして、職員が美味しい安全なランチを楽しむことができるのではないかと、中央労金本社ビル内のコミュニティ・ベーカリーを考えました。コミュニティ・ベーカリー『風のすみか』は、職員用カフェの一角に、第1第3水曜日のお昼前後にオープンしています。


販売の内容は、前週の金曜日に職員2500人にメールで送信。また、チラシも社内に貼るなどしてお知らせしています

『風のすみか』のパンは、「文化学習協同ネットワーク」が運営する農地で自主栽培した食材で、自ら作ったオーガニックパンです

「品数豊富でオリジナルパンも多く、本当に美味しい」とお客さまからの声。よく売れています!

一人、平均3個ぐらいのパンをお昼ごはんやおやつとして買っていく人など、さまざまです

■働く喜びを実感することは、リアルな経験

中村さん(文化学習協同ネットワーク)

中村さん
(文化学習協同ネットワーク)

常連さんが多いんですよ。販売の青年たちも楽しんで働いてくれるようになりました。売れ筋は“キーマカレーパン”と“日替わりおやき”。“抹茶クリームパン”はもう売り切れました。常連さんから『今日は〜パンないんですか?』とリクエストされることもあり、次回は必ず補充するんです。

お昼時なのでたくさんの職員の方が買いに来てくれます。売り切れることもあり嬉しいです

新発売のパンを職員の方々に試食していただきます

「桜の葉っぱがほんのりとして美味しいです」と、感想をもらいました

季節感があるので、喜んでいただけたようです

■カフェテリアのお客さん、パンのお味はいかがですか?


自らも環境と平和のNPO「ネットワーク地球村」に参加、現在はお住まい市川市周辺の会員の多くで構成する「いちかわグリーンネットワーク」で地域のボランティア活動を続けている常連の庄司さん。
「毎回美味しく安心していただいています。『風のすみか』の販売の日は、ポスターが貼られ社内ネットニュースでお知らせがあるので、職員は皆『風のすみか』で買う意義をわかっていますよ。彼らに協力できることは喜ばしいです」

「青年たちの仕事の苦労はよくわかりますよ。孫たちがお土産として楽しみに待っているので、パンを買っています。同僚の守衛は、パンがあまっているのを見ると夜勤の時の食事として全部買っちゃうらしいですよ」
ビルの守衛さん(前職:大手のパン工場勤務)

「今はとてもスムーズに運営され、明るく働いてくれていますが、最初は話しかけても口数が少なかったんです。カフェテリアで、どんなふうに動いたらいいのかもわからない様子でした。私たちが列を直したり、職員に試食をしてもらったらどうですかなどのアドバイスをしてお手伝いをしましたが、すぐ理解してくれて全て自分たちで動き、声も出してくれるようになりました。売り切れになることもあるほどなんですよ。最近、私たちはただ見ているだけで、出番はあまりなくなりました」石橋いづみさん(中央労働金庫総合企画部)

■働くことを通して学び、学びながら働く。一人一人のペースで成長する


文化学習協同ネットワークは、不登校の子どもの居場所づくりや、引きこもりの青年の自立を目的に、「フリースペースコスモ」、若者自立塾「コスモワーキングスクール」などを運営しています。若者自立塾「コスモワーキングスクール」では、『農場実習』『ベーカリー実習』といった厚生労働省の委託事業の労働体験がプログラムされています。農作物を生産し、出荷・販売するという仕事を生活の中心に置き、150年という年月を経た、貴重な古民家にて共同生活を行っていきます。また、農場で生産された作物を材料とした、コミュニティ・ベーカリー「風のすみか」で、パンの製造や販売の実習を、通塾・合宿いずれかで受けられます。
http://www.npobunka.net/

■〜中央ろうきんが、助成する多くの団体〜
応援します!個性が輝く"ひと・まち・くらし"づくり

「風のすみか」への支援のほか、さまざまなNPO支援に取り組んでいます。1都7県の地域で活動するボランティアやNPOなどの市民活動団体を対象に助成する「中央ろうきん助成プログラム」では、個性が輝く“ひと・まち・くらし”づくりをテーマに助成を行います。未来の財産となる「ひと」を育て、魅力的で住みよい「まち」をつくり、多様な生きかたを認め合う「くらし」を実現する活動を応援するというものです。2006年度は39団体に、「中央ろうきん社会貢献基金」や寄付金より1,473万円を助成。

■「かながわユースボランティアりんぐファクトリー」(神奈川県)


若いユースに向け、ボランティア活動が身近なものになってほしいとの思いから、ボランティア体験の場や入門講座の運営を行っています

■「にっぽんmuseum」(東京都)


「日本全国、まるごと美術館になったら、おもしろい」と、身の回りのことがらに芸術文化の魅力を吹き込むことで、より豊かで活き活きとした社会を作ることを目的に、「地域ソムリエ養成講座」「建築お菓子創作講座」「子供向け絵本創作講座」など独創的な講座を開催しています

■NPO専用の融資「ろうきんNPO事業サポートローン」で
福祉金融機関の役割を発揮

地域の福祉向上を目指すNPO法人の活動を支援することを目的に、国や自治体、助成財団などの助成金交付までのつなぎ資金、事業の伸長にともなう運転資金、事務所などの改修工事費用、設備資金などへ、融資を行っています。

■「結いの会」(千葉県)


在宅で援助が必要な高齢者及び障害者に、訪問介護サービス事業を行っています。また、『寝たきりにならない』ための“生き生きストレッチング”を各地で開催し、体力・健康の維持運動を推進しています。これらのサービスを提供する際、職員の車を使っていましたが、融資のおかげで念願の“車イス対応福祉車輌”を購入することができ、活動の場が広がりました。また、車イスを使う方の利用も増え、感謝されています

中央労金は一般の銀行とは違い、金融機関としての役割だけでなく、働く人のための福祉社会への啓発活動も担っていました。そのためには、NPOの理念と力が欠かせないと考えています。働く人たちと地域の暮らしを豊かにすることを目的としているのです。

■NPOが助成や融資を受けるには

「中央ろうきん助成プログラム」
(1)助成対象団体:
関東エリア1都7県(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨)を中心に活動する団体
(2)対象分野:
〔ね茲虜盪困箸覆襦屬劼函廚魄蕕討
¬ノ賄で住みよい「まち」をつくる
B人佑弊犬かたを認め合う「くらし」を実現する
(3)募集時期:
毎年1月に次年度の助成先を募集
(4)助成内容:
スタート助成(活動開始資金)⇒1団体 上限30万円
チャレンジ助成(事業展開資金)⇒1団体 上限100万円

「ろうきんNPO事業サポートローン」
(1)助成対象団体:
仝饗Г箸靴董任意団体期間を含め3年以上の活動経験があり
関東エリア1都7県(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨)内に主たる事務所を有するNPO法人
(2)資金使途:
,弔覆資金(委託金や助成金などが支給されるまでの資金)
運転資金
設備資金

助成・融資とも詳しくは、http://www.rokin-ikiiki.com/npo.html をご覧ください。